アイドルオタクのオタク論【1】オタクにとってのオタ活

 私はアイドルオタクであることを特に隠していないので、職場などで「明日はライブなんですよ〜」と言えば、「いいねー。楽しんできてね!」などと言ってもらえる。そう言ってもらえるのはありがたいし、嬉しい。

 ただ、ときおり引っかかることがある。オタクである私にとっての「ライブ」と、その人(オタクではない)が思っている「ライブ」は、ちょっと扱いが異なるのでは? ずれた認識のまま会話しているのでは?、と。

 

 ライブをオタ活(=オタク活動)に置き換えて、もうすこし一般化して考えてみる。

 

 オタクでない、つまりオタ活をしない人の生活は、たぶんこんな感じだと思う。

 

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 生活に必須の事柄を土台として、その上に「趣味・娯楽」があり、いちばん上に「たまの贅沢」がある——これがおそらく、オタクでない人の一般的な生活だと思う。

 

 で、オタクでない人が想像するオタクの生活は、たぶん次のような感じだと思うのだ。

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  仕事と生活以外がすべてオタ活である。趣味もたまの贅沢も、すべて推しに捧げる——これが、オタクでない人が考えるオタク像のように思う。

 だが、実際のところはどうだろう? 私以外のオタクに聞いてみたいのだが、あなたの生活はこんな感じですか?

 

 オタクとひとくちに言っても、何のオタクか、在宅派か現場派かによってかなり生態が異なるだろうし、私と同じ現場派で同じアイドルグループのオタク、仮に推しメンまで同じであったとしても、推しかたのスタンスは人それぞれ。日々の生活も人それぞれだろう。

 なので、上図に示したような「生活基盤以外、全捧げ型」のオタクがいないとは言わない。言わないが……。

 少なくとも私自身やまわりのオタクたちの生態とは、少し、いやかなりの乖離を感じる。

 

 たとえば上図の「オタ活」を「アイドルのライブ」に置き換えてみると、それは「アイドルのライブを観に行くのが趣味で、他に趣味がない人」の生活であり、オタクとは限らないのでは? と思う。

 オタクでない人からすると、オタ活にかける時間、熱量の大きさ”のみ”でオタクかどうかが決まるという感覚なのかもしれないが、オタクをオタクたらしめるものは他にもあるように思うのだ。

 

 先に述べたとおり、オタクの生活は人それぞれ。なのであくまで一例だが、私の体感している「オタクの生活」は次のとおりである。

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  絵心(?)がないせいか、いびつな図になってしまった。

 

 表現したかったのは、まず生活の基盤にオタ活があること。

「オタ活のために仕事をしている」というより「オタ活をしているから仕事や生活ができている」という感覚が私は強いし、同じように感じているオタクも一定数いるはずだ(もちろん、そうでないオタクもいると思う)。

 また、同居家族や職業にもよると思うが、「オタ活のスケジュールをもとに仕事や生活の予定を組む」というオタクも多いだろう。イベントが入りそうな日は予め仕事を休みにしておいたり、ライブ配信の時間を見越してご飯やお風呂をすませたり。

 さらには、推しのSNSへの投稿をみて晩ご飯のメニューを決める、朝おきたら推しのポスターにおはようを言う——ただいまも言う——そんな若干気持ち悪いとも言える「オタク仕草」こそ、オタクの本分ではないだろうか。

 このように、さまざまな場面で推しが生活の一部となっている。それがオタクだと思うのだ。

 

 そして、「趣味・娯楽」「たまの贅沢」がオタ活とは別にあるというところも、上図で表現したかったことである。

 オタ活以外にも趣味があるオタクは多い。というか、オタ活が生活基盤に侵食している度合いが高ければ高いほど、息抜きとしての趣味には別のものを求めがちになるように思う。

 それは推しに飽きるとかそういうことではなく、推しを常に新鮮に感じるためにも、たまには他の空気も吸っておきたくなるものだ。私の場合、それは読書だったり、ゲーム実況動画を観ることだったりする。たまの贅沢としては、旅行に行くのも好きだ。

 

 もちろん、オタ活は楽しい。楽しいので「趣味・娯楽」や「たまの贅沢」の性質を持つことも多々ある。

 けれど、息抜き目的でオタ活をしている人や、オタ活以外に息抜きがないという人は、オタクのなかではむしろ少数派ではないだろうか(オタ活は息抜きに”も”なる、とは思うけれど)。

 

 この「オタ活と息抜きが異なる」というのが、オタクでない人とよく認識がずれる点である。

 オタクでない人はオタ活を「趣味」や「たまの贅沢」だと思っている(多分)ので、私がライブに行くと言えば「(息抜きができて)いいねー。楽しんできてね!」と言ってくれる。

 それに対して私は、何となく認識がずれてそうだなーと思いながらも、「はいー、楽しんできます!」と答える。心のなかで、オタ活ってそういうのじゃないんですよね……あと来週も再来週もライブ行くんですよ、って言ったら引かれるかな……などと考えながら。

 

———

 

 感染症の流行により、去年からライブの頻度ががくっと減ってしまった。他の現場も似たような状況だと思いますが、現場が減ってしまった現場型オタクのみなさんは、どのようにお過ごしでしょうか?

 私は最初のうちこそ「生活の一部が欠けて悲しい……さみしい……」と打ちひしがれていたけれど、「現場に行けない今こそ、別のことをやろう」と考えて、今は元気にすごしている(推しグループが家で視聴できるコンテンツを頻繁に提供してくれているおかげもある)。

 

 この文章もその一貫である。前々から書いてみたかったオタクについて、書くなら今だと思った。毎週のように通っていた現場がないのだから、時間はいくらでもある(はず……)。

 シリーズ化する予定なので、また次も読んでくれる人がいたら嬉しい。次回のテーマは「アイドルオタクの嫉妬心」を予定している(2月中の更新を目指す)。今回よりも自分の体験や主観の割合が増えると思う。

 

 最後に、公開されたばかりの推しグループのライブ映像を貼っておく。 推しの情報をここに貼るつもりはなかったのだけれど、この映像はあまりに素晴らしすぎて……(やっぱ貼るのやめよう、ってなったら消します)。

 推しメンはピンクの子です。

 


たこやきレインボー / Rainbow Plane~なにわのはにわ[Intro]