仕事のメールの返事が来ないので、悶々とした日々をすごしている。
相手のことをよく知らないので、どんなつもりでいればいいのか、わからない。ただ忙しいだけかもしれない。それなら待っていられる。季節の変わり目で、体調をくずされたのだろうか? もしそうなら、私への返事のことなど忘れて、お大事にしてほしい。ひょっとして、細々としたタスクを後回しにしてしまうタイプの人なのかも。私にもそういうところがあるので、その気持ちはよくわかる。
あるいは、私が何かまずいことを言ってしまい、仕事相手として不適格だとみなされたのだろうか。だとしたら、この仕事を紹介くださったかたに申し訳ない。
それとも、私の送った問い合わせ事項が、想定よりもはるかに厄介なことになっているのだろうか。いまこのときも、私のメールに回答すべく、奔走してくださっているのかも。
わからない。ひとことも返事が来ないので、相手の状況がまったく見えてこない。
不安や心配がつのっていく。ひとつひとつは、薄くて軽い、大したことのない不安でも、時間がたつうち、いつのまにか分厚く積み重なって、息が詰まりそうになってきた。
ひとことだけでいいから、返事がほしい。状況を知らせてほしい。そうすれば、安心できるから。
でもそれは、私の都合。相手の都合は、私の手の届かない場所にある。
リマインドメールを送って、それにも返事が来ないので、もはや打つ手がなくなった。あとは待つしかない。いや、本当は電話をかけることも出来るのだけれど、できればやりたくない。私はよく知らない相手への電話が大の苦手なのだ。これは、私の都合。
不安に埋もれながらすごす日々。返事がきた夢をみて、起きて、メールボックスをチェックする。来ていない。私が送信に失敗したのかも? 何度も確認する。送信済みになっているし、宛先に間違いもない。何度かやりとりしている相手なので、私のメールが相手の迷惑メールに振り分けられている可能性は低い。もちろん、こちらの迷惑メールボックスにも、相手からの返事は届いていない。何度も何度も確かめるうち、不安が苛立ちに変化しそうになる。
このままだと、いっこうに返事をよこさない相手を恨みはじめてしまう!
そう思ったので、いったん不安な気持ちを手放すことにした。スケジュールアプリを開き、数週間後の適当な日に「〇〇様に再連絡」の予定を登録する。そこに今抱えている不安をぜんぶぶち込み、「閉じる」を押してふたをする。
これで、しばらくは大丈夫。その日が来たら、その日からまた不安になればいい。
それまでは、さようなら。私の不安。
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